第8章 お前がこんな面倒を起こすのは、あいつのせいか?

「長谷川栞?」

受話器の向こうから届いた石渡恭平の声は、わずかに震えていた。その瞬間、栞の目の縁が熱くなる。

「……うん。私」

「へえ。西から太陽でも昇ったか? それとも中野航平が事故った?」

数年ぶりに浴びせられた、懐かしい毒舌。栞は思わず吹き出した。

――変わってない。石渡恭平だ。

栞も遠慮しない。

「石渡先生、ここ数年ノリに乗ってるって聞いた。担当した案件、無敗なんでしょ。だから……お金、持ってきた」

数秒の沈黙。

それだけで、彼は察したらしい。

「場所はお前が決めろ」

……

支度を終えてリビングに降りると、中野航平たちの姿はもうなかった。深く考えず、栞は車で中...

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